内容を簡単確認
「エコキュート」は省エネと節約に役立つ給湯器
エコキュートはヒートポンプ機能を備えた「少ない電気で効率よくお湯が沸かせる給湯器」です。
ガス給湯器はガスと電気を使ってお湯を沸かしますが、エコキュートは「電気+空気中の熱」でお湯を温めるため、使用電力を抑えながらお湯を沸かすことができます。したがってエコキュートの導入は省エネや光熱費の節約に大きく役立つといわれ、2022年3月末には国内累計出荷台数800万台を突破し使用するご家庭も年々増え続けています。
参考:エコキュート 800万台突破 | 一般財団法人 ヒートポンプ・蓄熱センター (hptcj.or.jp)
エコキュートのメリット・デメリット
エコキュートのメリットとデメリットを詳しく解説します。デメリットについては解決方法もご紹介しますので、導入をご検討している方はチェックしてみてくださいね。
メリット
① 光熱費を節約できる
ご使用の地域や、ご家族の人数などで電気使用量に差はありますが、エコキュートの導入で光熱費を約3分の1まで安くできる可能性があります。大幅に光熱費を節約できる理由は、夜間の電気料金が安いプランを活用してお湯を沸かすことができるからです。
パナソニックの「エコキュート 低ランニングコスト」の調査結果によると、ガス給湯器の年間光熱費は約78,000円です。一方で、エコキュートは年間約24,000円程度と光熱費を大幅に軽減することが可能です。
ただし、日中の電気使用量が多いご家庭は、プランを変更することで電気料金がむしろ高くなることもあるので注意しましょう。導入前に「どの時間帯に電気をよく使うか」を思い返してみるといいですね。
参考:パナソニック公式サイト:https://sumai.panasonic.jp/hp/2point/2_3.html
② 災害時に貯水タンクとして活躍
エコキュートは災害などの非常時にとても役立ちます。
貯水タンク本体の「非常用取水栓」からお湯を取り出すことができて、断水時の生活用水として使用することができるからです。
また災害時の復興は、ガスより電気の方が早いと言われています。ガスを使わずにお湯を沸かせるエコキュートがあると、災害後にスムーズに日常を取り戻すことができますので安心です。
また停電時も、お湯張りや追い炊きのような電気が必要な機能は使えませんが、貯湯タンク内に沸かしてあるお湯はシャワーや蛇口からの使用が可能な点も大きなメリットです。
③ CO2削減で環境にやさしい
エコキュートに備わっている「ヒートポンプ」という機能が、CO2削減に大きく貢献しています。
電気と空気中の熱だけでお湯を沸かし、木やガスなどの燃料も燃やさないので二酸化炭素が発生せず環境にも非常にやさしいです。
またヒートポンプ機能で使用する電力も少量です。電気温水器は熱を1から作りだすため多くの電力を必要としますが、エコキュートは空気中の温かい熱を利用するので約1/4の電力量で同じ量のお湯を沸かすことができます。二酸化炭素を排出せず電気量も省エネできることがエコキュートの大きなメリットです。
④ 火災リスクの軽減
エコキュートは灯油やガスを使った給湯器と違い、火を用いる必要がなく火災リスクを大幅に軽減させることが可能です。
毎年発生している給湯器のガス漏れによる中毒事故の心配もないので、小さな子供やお年寄りのいる家庭でも、安心して使用することができます。
エコキュートの火災や中毒事故に対する安全性の高さは、ガス給湯器にはない大きな魅力と言えます。
デメリット 対策方法まで解説!
①設置(初期)費用が高い
エコキュートの導入について検索すると必ずデメリットとして目にするのが、高額な初期費用や設置料金です。エコキュートの本体価格は機種やサイズにより異なりますが、家電販売店などでは設置工事費込み40~70万円程で扱われています。20万円程で設置できるガス給湯器と比べると、初期費用は高額です。
初期費用を軽減したい方はエコキュートのリースサービスをご検討されてみてはいかがでしょうか。リース期間が終了した後はエコキュートを無償で譲渡してもらえるプランもあるためご自分で負担する初期費用を大きく抑えることができます。
エコキュートの導入について高額な初期費用で迷っている方は、導入のハードルがぐっと下がりますね。ただし、最終的な支払い総額も計算しながら導入方法を選択しましょう。
②お湯切れが心配
エコキュートについてお湯切れに不安を感じる方もいるでしょう。
ガス給湯器は使うときに使いたい分だけのお湯を沸かしてくれますが、エコキュートはあらかじめ1日分のお湯を沸かし、タンクに貯めておく仕組みです。したがって、タンクが空になるとお湯切れが起きてしまいます。
お湯切れが心配な方は、ご家族の人数や使用量に合ったタンク容量を選ぶことで不安を解消してはいかがでしょうか。人数や使用量に対して小さいタンク容量を選んでしまうと、お湯切れや、電気代が割高な昼間に追加でお湯を沸かす手間がかかるので注意が必要です。
サイズ選びの参考として、2~3人家族ならば370L、4~5人家族は460L、6~8人家族なら550Lを選ぶと後悔しないでしょう。
エコキュートはタンク容量が小さい方が安価なので、初期費用を考えると小さめのサイズを選びがちですが、長期的に快適に使用できるよう余裕のあるサイズ選びを意識しましょう。
③夜間運転の騒音が気になる
エコキュートの夜間の運転音が近隣住民との騒音トラブルを引き起こすケースも増えています。
エコキュートの運転音は「約50~60dB」で一般的にこれは図書館の館内の騒音レベルと同等であり、特別うるさく感じることはありません。実際エコキュートの騒音トラブルの原因は、運転音ではなくエコキュートが発する「低周波音」だと言われています。
人によっては低周波音によって、不快や不調を感じる場合があり、これが騒音トラブルの大きな原因だとされています。
騒音トラブルや設置したご自身の不調を防ぐ3つの方法をご紹介します。
■設置場所に気を付ける
隣家の寝室に近い位置にエコキュートを設置したために、訴訟に発展したケースがあります。使用を控えるよう隣家からクレームを受ければ、電気代が安い夜間電力を活用した給湯を諦めることになるでしょう。
近隣を意識した設置場所の検討を行い、ご自分で判断することができなければ経験の多い専門業者に相談をしてみるのもよいですね。
■防音シートや防振ゴムで防音対策に努める
設置後に、防音・防振グッズを活用することでご自身の不調を未然に防ぐことができます。より快適にエコキュートを継続して使い続けられるように工夫してみましょう。
■太陽光発電システムと連携したエコキュートの導入を検討する
太陽光発電システムと連携した機種の登場で、昼間でも節約しながらの湯沸かしが可能になりました。設置できるエリアや機器の制限はありますが条件に合う方は検討してみてもいいですね。
④設置のためにスペースが必要
エコキュートを導入する場合「貯湯ユニット」と「ヒートポンプユニット」と言われる2つの機器を設置するスペースが必要です。
たとえば人気の高いダイキンのエコキュート(370L)の場合、製品サイズは以下の通りです。
ラインアップ|エコキュート|ダイキン工業株式会社 (daikin.co.jp)
・貯湯ユニット: 高さ2,175×幅630×奥行730mm
・ヒートポンプユニット: 高さ735×幅825×奥行300mm
2つの機器のサイズに加えて、設置作業のできるスペースがないとエコキュートの設置ができない場合もありますのであらかじめ確認しておきましょう。設置スペースに余裕がない場合の対策として「薄型エコキュート」の導入をご検討してみてもいいですね。
各メーカーから奥行、幅、高さをそれぞれコンパクトにしたエコキュートが販売されています。ご自身の住居スペースに応じたタイプを選ぶことで、狭い敷地でもエコキュートを導入できる可能性があります。
⑤使える入浴剤に制限がある
エコキュートには使用できる入浴剤に制限があります。
「フルオートタイプ」と呼ばれる、追い炊き機能がありポンプでお湯を循環させるエコキュートは基本的に入浴剤の使用はNGとされています。お湯の循環時に入浴剤の成分で目詰まりを起こし故障の原因につながるからです。一方で、保温や追い焚き機能がない「オートタイプ」や「給湯専用タイプ」では入浴剤を使える製品も多いです。しかし、使える入浴剤の制限もありますので、メーカーごとにHPや取扱説明書を確認していただき、推奨された入浴剤をご使用されることをおすすめします。
エコキュートで電気代は安くなるの?
エコキュート 1ヶ月当たりの電気料
1ヶ月あたりの電気代を以下に地域ごとでまとめてみます。
東京電力エナジーパートナーエリア:約2,000円
北海道電力エリア:約2,700円
関西電力エリア:約1,700円
九州電力エリア:約1,500円
沖縄電力エリア:約900円
1ヶ月あたりの電気代は、地域ごとに約900〜2,700円と大きな幅がありますが、これは、エコキュートの外気温を活用してお湯を沸かす仕組みによる影響です。
平均気温が高い地域は電気代が安く、平均気温が低い地域は電気代が高い傾向があります。
出典:出典:パナソニックによる地域別のランニングコストの比較https://sumai.panasonic.jp/hp/2point/2_3.html
エコキュートで電気代をさらに節約する方法3選
エコキュートは割安な夜間電力を使用することで電気代を抑えられる仕組みになっていますが、より効率的に電気代を抑える方法について3つご紹介します。
①昼間はお湯の湧き増しを控える
電気料金の節約には、昼間の沸き増しを控えることが重要です。夜間電力が割安な料金設定にしていると昼間の電気代は割高となります。お湯切れの際に「自動沸き増し機能」が作動するタイプであれば、機能を停止して昼間の湧き増しを抑えると節約になります。
②電気料金プランを見直す
電気料金は、各電力会社でさまざまなお得なプランが用意されています。しかし電気料金プランが自分の生活スタイルに合っていないと、お得どころかムダに高い電気代を支払っている場合があります。生活は変えずに電気代を抑えたいと思ったら、サポート業者や電力会社に料金プランについて相談してみると簡単にコストカットが叶う可能性もあります。
③節約機能の充実したエコキュートを選ぶ
節約機能に注目したエコキュート選びも節約に大きくつながります。
例えば「ピークカット設定」と呼ばれる機能を活用すると、設定した時間帯のお湯減りによる自動沸き増しをストップできるので「ピーク時=電気料金が上がる時間帯」の電力カットに役立ちます。
さらに、数日家を空けるような場合は「休止モード設定」があれば、不在の間は沸き増しを減らせるので電気代も抑えられます。
各メーカーの機種ごとにさまざまな節約機能があるので、自分に合う節約機能をうまく活用して節電に役立てたいですね。
エコキュートとガス給湯器の特徴 9項目で徹底比較
エコキュートとガス給湯器にはそれぞれの特徴があります。
特徴を9項目に分けて一覧表にまとめましたので、ご自身に合う給湯器タイプ選びの参考にしてみてくださいね。
エコキュートとガス給湯器にはそれぞれのよさがありますが、デメリットの部分も導入前にしっかりと機種選びや設置業者への相談を重ねることで解消できる場合があります。
まとめ
この記事ではエコキュートのメリットやデメリットについて詳しくご紹介しました。
エコキュートの導入台数は年々増え続けており、多くのご家庭が大きなメリットを感じています。
一方でデメリットがあることも事実です。しかしデメリットの多くはエコキュートの選び方、使い方の工夫で解消することは可能です。さらに導入前にサポート業者に相談することで防げるものもあります。
エコキュートの導入をお考えの方は、ぜひご自分のご家庭に合った機種や電力プランをご検討されることをおすすめします。